とりねの備忘録

ゲーム日記を中心に何かしら書いてます。

ショートショート小説を書きました『自然』

 「ついに我々の勝利だ」

 我々魔王軍は、争いを起こし環境を汚染し多くの生物を絶滅に追いやった地上の病原菌たる人類を、ついに一人残らず殲滅する事に成功した。

 「本当にやりましたね、魔王様…!これでもう、地球が汚されずに済む。死んでいった仲間たちも浮かばれる事でしょう」

 私の側近が目に涙を滲ませながら言った。思えば、この勝利を掴むまで余りに大きすぎる犠牲を払ったものだ…

 

 目の前に広がる、人の手など加わっていない美しい山と海の風景。これが地球のあるべき姿なのだ。人類に破壊された地域や生態系も、やがては再生できるだろう。

 

 その時、空の向こうに何か光っているものが見えた。

 「何だ?あれは」「流星群ですよ!本当に綺麗ですね。まるで空も我々を祝福しているかのようです」

 いつまでも降り注ぐ星の光。ガスや煙を輩出する人類が消えたからか、昔よりも空が澄んで見えた。

 

 …なんだか様子がおかしい。あの光、流れ星にしてはあまりにも大きすぎはしないか。

 側近の方を見ると、やけに青ざめた表情をしていた。

「…も、もしかしてこれ隕石じゃ」

 次の瞬間、凄まじい轟音とともに地球は木っ端微塵に崩壊した。