いよいよウルトラQの感想も最後になります。
第26話「燃えろ栄光」
この回はなんだか独特な演出の多い回でしたね。他の回と比べて、場面転換時の演出が妙に凝っているのが印象的でした。
大きくなったピーターはまるでシンゴジラ第二形態のような見た目をしていましたね。何を考えているのか分からない顔つきがちょっと怖いですが、どことなく可愛らしさもあるのでジョーが気に入るのも個人的には納得です。
最後、ピーターやジョーがどうなったのかは全く明示されないままに話は終了します。この辺は視聴者のご想像にお任せしますという事なのでしょうか?最後のジョーの笑顔を見るに、きっとなんやかんやでいい方向に転んだんだろうと思います。
第27話「206便消滅す」
空中の謎空間にでっかいトドがいるという状況が何ともシュールでしたね。このシュールさは、「育てよ!カメ」に出てくる竜宮城に匹敵するものがあります。同じ世界の住人なのでしょうか?
この回は万城目&一平コンビがパイロットスキルを遺憾なく発揮していて、ゴーガ回と同じく劇場版のような活躍っぷりを見せていましたね。一平がバズーカ撃つのはさすがにちょっと変でしたけど、こっちは自分の技能を生かす方向性の活躍だったので無理が少なくて良かったです。
第28話「あけてくれ!」
冒頭で万城目&由利子が大量に荷物を持った一平を車で置いてけぼりにしてて、いくら一平がいじられキャラと言えどもこの扱いはちょっと一線超えてるんじゃないかと思いました。一平も二人に向かって「バカー!アホー!ひとごろしー!」と叫んでましたし…(人殺しではないだろ)
今回のストーリーは、今見るとかなり洒落にならないなと思ってしまいますね。沢村のように精神的に追い詰められているような人は、このご時世世界規模で沢山いるんだろうなと思いますし。
列車内の画面がずっと斜めに歪んでいるのもえらく奇妙で恐ろしい演出でした。理想郷というより、なんだかろくでもない場所に連れていかれそうな感じがします。
SF作家友野役・天本英世氏の怪演も光っていました。仮面ライダーといい殺人狂時代といい、天本英世氏の怪演はどの作品でも強烈な印象を残しますね。
これでウルトラQを全話視聴したわけですが、非常にバラエティーに富んだ作りで面白かったですね。一番好きな回は第11話『バルンガ』でした。バルンガのデザインも不安を煽る演出も奈良丸博士役・青野平義氏の演技もどれも秀逸で、ウルトラQの中でも頭一つ抜けたクオリティだったと思います。
あと、『育てよ!カメ』や『カネゴンの繭』のような子どもたちが主役の回も印象に残りましたね。とにかく意味を求めたら負けな不条理描写の連続で、どちらも自分の中の常識を揺さぶられるようなお話でした。その一方で『1/8計画』の由利子や『あけてくれ!』の沢村のようなくたびれ果てた大人が主役の回もあり、扱う話の幅の広さを感じさせられましたね。
この作品ひとつの中で様々な怪獣・宇宙人が生まれ、それに伴いホラーやコメディなど様々なジャンルの話も生み出されていった訳ですが、それら一つ一つが後のシリーズに繋がる礎になったんだろうなとあらためて思いました。